恵泉の有機園芸
「生活園芸Ⅰ」とは
荻場、鈴木(菜)、古瀬
恵泉女学園大学では一年次に必修科目として「生活園芸Ⅰ」が開講されます。
授業の目的は "一人ひとりの心を豊かにし、人と人の輪を広げていくこと" であり、
春・秋学期と通年を通じて大学に隣接した農場で、農薬や化学肥料を使用しない
"有機農業" を経験します。また、農場内の区画を二人一組で管理することによって、
農業を営むことだけでなく、他者と協同する大切さや難しさを実感できるのも魅力です。
次に、私たちが実際に感じた有機農業の利点と課題をそれぞれ紹介します。
利点は『野菜が生で食べられる』という点です。
種類によっては加熱や下処理が必要な作物もありますが、化学肥料や農薬を使っていないため、
より野菜本来の味を堪能することができるのです。
また、課題は「収穫量が安定しない」という点です。
有機農業は天候条件に左右されることが多く、作物が上手く発育せず、
十分な量が収穫できなかったこともありました。
しかし、私たちのように営利目的でなければそこまで影響はないかもしれませんが、
農業を軸に生活を営む人たちにとっては課題と言えるでしょう。
「生活園芸Ⅰ」の土壌作りにおいて扱う有機資材には、
(1)牛糞たい肥 (2)鶏糞 (3)米ぬか (4)マルチ
があります。マルチとは、土の保湿や保温・雑草除去の効果をもたらす方法であり、
稲わらやビニールフィルムで行うこともありますが、
恵泉ではそれらを雑草や落ち葉で代用しています。
さらに、枯れ葉などは農場内に落ちているものだけでなく、
農場へ向かう通路や学内の落ち葉なども集められます。
このように足元に落ちている自然資源を無駄にすることなく利用し、
循環した農業を営むことができるという点も恵泉で行う有機農業の魅力の一つです。
春夏野菜
~ジャガイモとキュウリ~
私たちは春夏野菜として、
ジャガイモやキュウリなどを育てました。
ジャガイモは最初種芋の状態で私たちに
配られました。配られた種芋には芽がでており、
見慣れないものだったため
とても気持ち悪かったのを覚えています。
土寄せはイモが露出して緑化してしまうのを
防ぐためです。
緑化してしまうと有毒なソラニンが
生成されてしまいます。
キュウリは実の重さで倒れてしまうので、
苗に麻ひもをかけ支柱に巻き付ける
誘引という作業を行います。
なぜ麻ひもかというと天然繊維のため土に還るので環境にも良く、劣化しづらいためです!
キュウリは、成長するのが早く
収穫が 1週間遅れるだけで巨大化します。
化けキュウリになると苦味が出るので
早めに収穫しましょう!
秋冬野菜
~ハクサイとダイコン~
私たちは秋冬野菜として、
ハクサイやダイコンも育てました。
ハクサイは気温が0度以下になると霜枯れを起こすので、それを防ぐためハクサイを外葉で覆い保温します。
これは大切な農作業の1つです!
恵泉では、1月に収穫したハクサイを
皆で味噌汁として試食します。
除草など何ヶ月も愛情を込めてお世話したため
心も身体もホッと温まる
感動する美味しさがありました。
ダイコンは又根という
二股になる状態にならないように
枝や石などの障害物を取り除いておき、
主根の成長点を邪魔しないようにする。
収穫したダイコンについている葉っぱも
一緒に持って帰ります。
そのダイコンの葉っぱを使ったふりかけの作り方は
ダイコンの葉をみじん切りにし、
フライパンにごま油を入れ、熱し、
ダイコンの葉とちりめんじゃこを入れて
葉がしんなりするまで中火で炒めます。
酒・みりん・砂糖・醤油・白いりごまを加え、
水気が無くなるまで炒めます。
この料理は祖母から教えてもらったそうで
改めて母の偉大さに気づいた日でした。
恵泉は、教育機関で初の有機JAS認証を受けています。
その試みには、
1. 焼き芋を行った後の灰を翌年のサツマイモの肥料にする
2. 雑草を防ぐために、地元の植木屋さんから刈草を分けてもらい
敷草にして雑草を防ぐ
など地域資源の有効活用があります。